もう一度、その声が聞きたかった【完結】
そして4月上旬。

さくら満開の公園で
ウェディングドレス姿の私を抱きしめる
タキシード姿の彼。

きれいな青空の下
カメラマンにアドバイスされながら
何回もシャッターが切られる。

私たちは昨日入籍し、結婚式は挙げず
ウェディングフォトを撮っている。

私は彼の顔を見上げ、呟いた。

「夢じゃないよね…?」

『夢みたいだけどな。
さくら、愛してる…』

「私も…愛してる、圭介。」

自然と唇が重なる。

シャッターの音も外だということも
気にならないくらい、今は彼しか見えない。


私たちは出会いから長い年月を経て
家族になった。
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