もう一度、その声が聞きたかった【完結】
ーーーーーー


''さくら…''

優しい笑顔を向けた彼の手は
可愛らしい女の子の手に繋がれている

''ママー''

女の子が元気に手を振る


ーーーーーー

『さくら』

彼の優しい声で目が覚めた朝。

「おはよう、圭介」

私が手を伸ばすと
私の抱き上げて体を起こしてくれた彼。

結婚して2年が経っても
2人で微笑み合う幸せな朝。

花瓶の水を替えて
その横に飾った写真たてに触れた。

写真たてには8年前に産んであげられなかった
私たちの赤ちゃんのエコー写真。

彼が劣化しないように
写真屋さんに加工してもらったおかげで
今でもはっきり綺麗に残っていた。


今朝、久しぶりにあの夢を見た。

なんだかとても良い気分で
ふとお腹に手を当てる。


先週から気になっている事がある。
体は微かにダルくて熱っぽい。
あれも2週間遅れていた。


彼にはまだ内緒。
病院できちんと確かめてから
彼には伝える予定。


きっと…
私たちの新しい家族が…ここに。


(天国の赤ちゃん…
お空から見守っていてね…)



【完】
< 168 / 168 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:61

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop