ゆるふわな君の好きなひと
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二時間くらい璃美と眞部くんの歌を聴いてから、カラオケの個室を出ると、受付のところで男子高校生の一団と一緒になった。
十人くらいのグループで、いろんな制服の人たちが入り混じっている。
そのうちの数人は、うちの高校の制服を着ていて。顔見知りだった。
というか、わたしはその集団のほぼ全員の顔と名前を知っていた。それも、ほぼ一方的に。
「あれー、先輩たち、おひさしぶりです」
わたしと同じく、その集団のなかに顔見知りを見つけた眞部くんが、近寄って行って声をかける。
「おぉ、眞部。あ、由利もいるじゃん」
集団のなかで、容姿も声も態度も一番目立つ人が、振り向いてにこにこ笑いかけてくる。
わたし達と同じ高校の三年の梶谷先輩だ。
眞部くんに合わせて梶谷先輩のほうに近付いていった由利くんも、ペコリと小さく頭を下げている。
もう引退してしまったけど、梶谷先輩は眞部くんや由利くんのバスケ部の先輩だ。
梶谷先輩の周りには、元バスケ部だった久我山先輩や五十嵐先輩もいる。
うちの高校のバスケ部は強豪校ってわけではないけれど、ひとつ上の梶谷先輩たちの代には上手い人が揃っていて。毎回、試合でもいいところまで勝ち進んでいた。
そのうえ、梶谷先輩を筆頭に容姿もかっこよくて目立つ人が多かったから、先輩たちが現役のときのバスケ部人気はすごかった。