ゆるふわな君の好きなひと

「先輩たち、受験生なのに遊んでていいんですか?」

「テスト終わったから、今日は息抜き。みんなで中学行って、バスケしてきた」

「あぁ、北中の?」

「そうそう」

「先輩たち、北中の後輩贔屓ですよね。たまには、俺らのとこにも顔出してくださいよ。先輩たち来たら、絶対みんなの士気もあがるし。な、圭佑」

「ん? んー」

 先輩たちと会話していた眞部くんから突然に話を振られた由利くんが、少し間の抜けた相槌を返す。

 それを見た先輩たちが、けらけらと笑った。


「由利、話聞いてた?」

「相変わらず、ぼけっとしてんな」

 先輩たちにからかわれて、頭をぐりぐりっと撫でられた由利くんは、いつものように気の抜けた顔で笑っていた。


「梶谷ら、まだしゃべってる? 俺ら先行くよ」

 受付を済ませたほかのメンバーたちが、奥の廊下に向かって歩きながら梶谷先輩たちに呼びかけてくる。


「あー、行く。じゃあな」

 梶谷先輩が軽く手を振って歩いて行き、それに久我山先輩と五十嵐先輩が続く。

 去年キャプテンを務めていた五十嵐先輩は、「また部活にも顔出すな」と、眞部くんに声をかけている。

 その様子をぼんやり見ていると、五十嵐先輩の隣にいた久我山先輩が、少し離れたところに立っていたわたしと璃美にちらっと視線を向けてきた。

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