幼なじみが愛をささやくようになるまで〜横取りなんてさせてたまるか〜
すでに町屋さんは駅のコインロッカーの前に立っており、私を見つけるとこの前と同じように手を上げながら私の元へ小走りで寄ってきてくれた。

「突然誘って悪かった。大丈夫だった? つい今日は早く帰れると思ったら誘ってしまったよ」

「私も早番だったので大丈夫です」

町屋さんにはどんなお店がいいのか分からず結局考え付かなかった。
だが、町屋さんは考えていたのか私を連れてお好み焼き屋さんへ連れて行ってくれた。
この前と違い私にはとても気軽でホッとした。

「ひまりちゃん、ここでいい?」

「はい!」

私たちは付き合って座りメニューを広げた。

「町屋さんもお好み焼き食べるんですね!」

「もちろんだよ。この前みたいなお店はここぞ、という時。でも普段はこういうお店が好きだよ」

ここぞ、という時だと言われたが今回はその必要がないということなんだ……。
なんだか聞きたくなかったな、と落ち込んでしまった。

「ひまりちゃん? 勘違いしないでよ。この前一緒に食べて楽しかったから緊張しないで今度こそゆっくり話したいと思ったからここに誘ったんだ。ここは俺のイチオシの店だから連れてきた」

ん?
俯気気味にしていた私は顔を上げた。
すると覗き込むように私の顔を見て笑っていた。
なんだか見つめられていることになれず私はドキドキしてしまった。

「さ、ひまりちゃん。俺のおすすめを食べてみてよ。君となら今までよりもっと美味く楽しくなると思ったんだ」

そう言うとおすすめを注文してくれた。
運ばれてきた容器をかき混ぜ鉄板の上に手際よく焼き始めてくれた。
焼きあがると私のお皿にどんどんとのせられていく。
とても美味しくかったし、今日も町屋さんとの食事は話が盛り上がりとても楽しかった。
結局今日もご馳走になり、町屋さんと同じ駅なこともあり一緒に帰ることになった。

さっきから何度となくスマホがメッセージの受信をしており揺れるのを感じるが、見るのも失礼だと思い放置していた。
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