愛しのフェイクディスタンス
ふふっと綺麗な笑顔で。けれど形の良い大きな瞳はじっと優奈を見据えた。
何となく棘のある言葉……のような気がしてしまうのはまるで品定めしているかのように突き刺さる視線のせいなのかもしれない。
「おい、お前は何でそんな言い方を」
「その通りです!」
優奈を庇おうとする姿勢を見せた雅人に割って入る。
こんなことを言われてしまうのは当たり前だからだ。
当たり前のことを目の前で口にしてくれることに感謝しなくてはいけない。
「私、頼り切ってここに入らせてもらいました。何のツテもなかったら入社なんてできてないだろう学歴と職歴しかありません。なのでマキさんや他の社員の皆さんには劣りますが、その分何倍も頑張るのでよろしくお願いします」
もう一度優奈は頭を下げる。
しかし今度は深々と。
そうしたなら、マキは「あら~」と少し驚いたように声を上げてから優奈の頭をよしよしと優しく撫でた。
暖かく、そして柔らかな感触。
願望かもしれないが、少しばかり感じた敵意は姿を消しているように感じた。
「うんうん、安心した」
「……マキさん?」
「優奈ちゃん、とっても素直な人ね。うん。私そういう人好きよ」
マキの手が離れて、顔を上げるとニコニコと弾けんばかりの笑顔が優奈を見ている。
今度は品定めみたいな視線はなくて、ただただ本当に楽しそうに見えた。