無理、俺にして

屋上で、俺のゆめちゃんに対する気持ちをオリに打ち明けてから、もう一週間は経ったか。

というかあの日もオリの本当の気持ちを聞けずにいたんだった。


「……」


思い出したらまたなんかムカムカしてきた。

だっておかしいだろ、何とも思ってないのに膝枕とかするか?
自分のワイシャツまで貸しちゃってさ!!!


「あづい~……体育館倉庫ってこんなに暑いんか……」

「オリくんよ、俺がもっと暖めてやろうか?」

「きゅうんっ!!」

「なんでじゃ」


オリはいつもこんな感じで飄々としてて、面倒くさいのが嫌いなイメージで。
だけど物事の本質的なところはちゃんと見てる……と思ってる。

だから俺がゆめちゃんのことが好きだって言うのも分かってたし、必要以上にゆめちゃんにちょっかいかけないようになったと思ってるし、俺とも気まずくならないようにこうしていつも通りに接してくる。


ゆめちゃんのことが好きなのか?


そう聞いたとき、オリは急に足が痺れたって言い出すものだから。
俺も慌ててゆめちゃんのこと起こしちゃって答えは聞くことができなかった。

これは俺の勘でしかないけど、たぶん足が痺れたってのは嘘。

……そう思うからこそ、本当にオリはゆめちゃんに対してなんの感情も抱いていないのか気になって仕方ない。

なんとも思っていないならそう言えばいい。
もしも特別な感情があるならきちんと言って欲しい。


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