唯くん、大丈夫?
Trust

秘密の甘い時間。

夏。







夏が来た。







お昼休み、屋上に続く非常階段。


屋上は封鎖されていて、管理の人しか入れないので生徒は寄り付かない。


そこが唯くんの秘密のお昼寝スポット。

(なぜかユリアちゃんには見つかってたけど)


唯くんの彼女兼ストーカーでもある私は、今日も今日とて唯くんの寝顔を盗み見にやってきた。


外気温はすっかり夏らしくなって汗をかかずにはいられない季節になったけど、窓がなくて日差しが入らない踊り場は、ヒンヤリとしててクーラーがなくても居心地がいい。



…おー、寝てる寝てる。



私はそっと近づいて、無防備に眠る唯くんを起こさないように、静かにしゃがむ。

鼻息が唯くんにかからないように口元を両手で覆って、その下でニヤニヤする姿は多分やばい人だけどやめられない。




ひゃーかわいい。

まつ毛長いねぇ。

髪サラッサラだねぇ。

…んん?

おでこにニキビ発見。

ストレス?大丈夫かな…

前にニキビできてたのは、美琴がおじさんにフラれて抜け殻になってる時だったな…

なにか心配事かなぁ。





…あ、そうだ、今日の夕飯考えないと。

今日安いお野菜何かな〜




私は階段を一段下に降りて、眠る唯くんを背にスマホでスーパーのウェブチラシを開く。



< 191 / 456 >

この作品をシェア

pagetop