唯くん、大丈夫?

窒素<長嶺<水素。

えっと……あった。Cクラス。

わ!思ったより広い。

緊張しちゃって少し早く来たから、まだ生徒はほとんどいない。


私は一人、教室に入る前に深呼吸をした。



今日は初めての予備校。



これまでも自分で明応大の過去問をやったり頑張ってきたつもりだけど、全然身についてる感じがしない。

多分このままでは落ちる。確実に。落ち確。

この夏、本気で頑張らないと…!




「…ふぅー。よし!」




自分の中で決意を新たに、教室の中へ一歩を踏み出した。

事前に決められた席を探して歩みを進める。


えっとー…あ、あそこだ!

隣の席に、色白で金髪の男の子が座ってる。

金髪…

ちょっと怖いな…

座席表の名前を見てみる。



『長嶺』。



なが…みねくん、かな?

学校じゃないし席替えとかはそんなないだろうから、とりあえず粗相しないようにしとこう。



私は緊張しながらゆっくり近づいていく。

長嶺君は俯いて、参考書をまじめに読んでる。

長めの前髪に隠れて顔は見えない。



…なんか集中してるっぽいから話しかけないほうがいいかな…?



私はそっと自分の机に近づいて椅子をスーッと引いた。

すると、即座に長嶺君が顔をあげて私に目を向ける。

私は咄嗟にいつもの調子でご挨拶を始めた。


「あっ、どーもー!隣失礼しまー…」




……ん?




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