唯くん、大丈夫?
長嶺君はそれをマジマジと見ると、興醒めしたように言った。

「…なんだ、芸能人か。現実見なよ。俺とかちょうどいいじゃん」


そうきたか、と私は目を仏のように細めた。


「うんうん、そうだよね。そう思うのも無理ないよ。でもこれがまさかの一般人で、本当に彼氏なんだなぁ。わたしも信じられないけどね、ラブラブなんだよね。」

「うっそだぁ。」

「うそじゃないってば……」


……はっ!

また友達みたいにお話ししちゃってる!!


「あぁーもう!だめ!話しかけないで!チャラ男しっしっ!」

「いいじゃん、授業始まるまで話そうよ。友達じゃん。」

「いつ友達になった?」

「今。」

「…」


長嶺君がニコニコと屈託ない笑顔を浮かべて、私は言葉を失った。





「水素より重い男こと、長嶺 光(ナガミネ ヒカル)でーす。これからよろしくね、ゆ、か。」




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