唯くん、大丈夫?

図書室の灯り。

また一人ぼっちになってしまった。うぅ。


唯くんの言う通り、大人しく着替えようかな。


たくさんいるかわいい子たちを差し置いて、こんな地味顔ちんちくりんの私が変質者に狙われるとは思えないけど…みねくんにも心配されちゃったし。


せっかくだから美琴のクラス覗いてから戻ろっかな。



私はすぐそこにある美琴のクラスの方に足を向けた。



んん?

なにやら大盛況。

長蛇の列ができてる。



美琴は確かミニゲームやるとか言ってたけど…

入り口の張り紙には、


『腕相撲対決!勝ったらうまき棒、負けたらケツバット』




…?

普通の腕相撲大会っぽいけど…なんでこんな人気なんだろ?





チラッと中を覗いてみて、私はすぐさま美琴を見つけた。




何もない教室の真ん中にポツンと置かれた教卓。

その前に、フリフリの可愛らしい赤ずきんの格好をして立っている。



うわうわ、かわいい!似合う!

お人形さんが動いてるみたい。



教室の内装からは、グリム童話がテーマになってることが分かる。


少し間をあけて美琴の周りを囲む人たちが、みんなうっとりした目で美琴を見てる。




わかるわかる。ずっと見てたいよね。

目に焼き付けてぜひ死ぬ前の走馬灯に出てきて欲しいよね。





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