唯くん、大丈夫?
唯くんは、

肩で息をしながら瞳孔を開いて、左手からはぽたぽたと血を垂れ流している。

入ってくるときに窓枠に残った鋭利なガラスに手をついてしまったみたいだ。

ガラスについた血の跡からして、きっと傷は深い。



唯くんはそれを気にも留めず、床に崩れ落ちた変質者に馬乗りになって胸ぐらを掴んだ。

例の怒り狂った獣の表情で睨む唯君に、
大きな青タンを作った変質者が「ヒ…ッ」と声を漏らす。








「…殺す」




唯くんが、静かに呟いた。








その声音に私まで背筋を凍らせたとき、

ガチャガチャッ、と鍵が開く音が入り口の方からして、ドアが勢いよく開いた。





「…ッ九条!待て!」
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