唯くん、大丈夫?
…なんて、言えない。






『知らーん』





送信。





あの日、ナンパした女の子と図書室近くのトイレでエッチなことしてたら、優花と変なやつが図書室に入るのが見えて

『唯くん』みたいにかっこよく助けるどころか、先生に報告してただオロオロするしかできなかった…



…なんて、ダッセー話。




言いたくない。

絶対言いたくない。





つーか優花の彼氏、クレイジーすぎないか?

いくら非常事態でも躊躇なく窓ガラス割る?

いるんだよな、たまに。常人には考えられないようなことするやつ。

そういうヒーローみたいなやつに、俺のような平々凡々な一般市民は一生勝てないんだよなぁ。

写真見る限りエグいぐらいのイケメンだし、勝ち目な…




…いやいや。

そもそも勝負自体しねーから。






ヴヴ…


優花からの返信。







『知らんかぁ〜』


どひゃあ〜!とウサギがひっくり返るゆるいスタンプ。







電車に揺られながら胸にジワ…と温かい何かが広がる。







癒されちゃってんな、俺。



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