唯くん、大丈夫?
そこで昼休みが終わる予鈴がなった。


美痴女が猫みたいなどんぐり目で唯くんをじっと見つめて、自分の肩を押す唯くんの腕をスー…と撫でた。


「ッ!」


唯くんがビクッとして手を離す。


その様子を見て、妖艶に微笑んだ。



「フフ…唯先輩、敏感ですね」


「…」






おいおい…


おいおいおいおい、なんですか今の?


私何を見せられてる?


現彼女がいる前で、え?何が起こった?


唯くんも唯くんでなにちゃっかり感じてる?


ていうかどうやってやったんですか?


そういうテクニックがゼロの羽根村にもしよかったら教えてくだs


「ユリア、です。」




美痴女がまたキスしそうな勢いで唯くんを覗き込む。


やり場なく宙に浮いていた唯くんの手を両手で挟んで、どエロい声音で囁いた。




「1年3組の紫藤(シドウ)、ユリア。いつでも乗り換え待ってます。唯、先、輩。」




紫藤ユリアの長い黒髪が肩から落ちて、サラリと揺れた。






私がたくさんの感情と戦っていると、紫藤ユリアがこれまた美しい所作で立ち上がって私を見下ろす。




…お、大きい




私との身長差、多分15センチ以上。



え?足なっが!

腰の位置の差は、あれ?

計算が合わないな…?




スタイル抜群の紫藤ユリアが鼻で笑った。



「一応謝っておきます。羽根村優花…先輩?」



そう言い残して、しゃなりしゃなりと去っていった。






< 64 / 456 >

この作品をシェア

pagetop