イノセント・ハンド
『どうした?』

富士本が聞く。

『それが・・・彼女が去った夜、彼は、少女に会ったと。』

『何だって!獄中でか?』

宮本が食いつく。

『え・・・ええ。そうです。その少女に教えられたそうです。真実を。』

三人は、次の言葉に息を呑む。

『姫城警部を殺したのは、お前達じゃない。お前たちは、警察に罪を着せられたんだと。』

『確かにあの時、警視総監自らが指揮して、瞬く間に3人が逮捕された。裁判も、異例な早さで有罪が決定したのを、不思議には思ったが・・・まさか、そんな。』

『真犯人は、警視庁関係者。それをもみ消す為に、警視総監までが動いた・・・と言うことですか。犯人は、山岸と同年代ってことになりますね・・・』

宮本の声が震えた。

『君、これを山岸に見せてくれ。』

富士本が、財布から写真を取り出す。

宮本も覗き込む。

『これはっ!窓に写っていた少女!!課長、なんでこれを?』

『7歳の時の・・・サヤの写真だ。』

驚きに声も出ない面々。

白沢が写真を持って取り調べ室へ向かう。


『課長。二人の共通点が分かりました。』

咲が告げる。

『地下鉄で死んだ北島 恵美と、事故死の東 信吾。17年前、二人とも都内にある秀明高校に通っていました。』

万引きで補導された北島恵美の写真を見せる。

中指を立て、手の甲に彫られたドクロのタトゥーを見せている。

『ジュン、東の検死写真を見せてくれ。』

『はい。』

宮本が、画面上で、何枚かの写真を見せる。

『これだ。やっぱり・・・』

写真に写った東には、左耳が無かった。

『姫城警部は、亡くなった時、犯人の耳を握り締めていたんだ。・・・こいつだ。』
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