たとえ9回生まれ変わっても


わたしは最近、紫央がいなくなることばかり考えてしまう。

一緒にいると楽しいのに、寂しい。

きっと、シオがいなくなった季節だからだ。

シオがいなくなってもうすぐ1年。
小さいころからずっと一緒だったのに、ある日突然、朝目が覚めたらいなくなっていた。

紫央も、そんな風に突然目の前から消えてしまうような気がする。

なんのお別れもできずに、ひっそりといなくなってしまうような。

紫央とシオは違う。

それはわかっている。

でも、どうしてか、そんな不安が消えないのだ。

ワインを飲んで酔っ払ったお母さんとお父さんは、ソファに横になるなり眠ってしまった。

わたしは2人に毛布をかけて立ち上がる。


< 125 / 157 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop