たとえ9回生まれ変わっても


「……あの、紫央」

「ん?」

首をかしげる紫央に、どくんと胸が鳴る。

「これ……」

わたしはずいっと紙袋を差し出した。

「クリスマスプレゼント、なんだけど」

ああ、全然ダメだ。
はい、って笑って渡したかったのに、緊張しすぎてにこりともできない。

いまになって、喜んでくれるだろうか、プレゼントなんてもらって迷惑じゃないかって、不安が込み上げる。


「にに、似合うといいんだけど」

「いいの?」

紫央の言葉に、わたしはこくこくとうなずいた。

紫央が目を見開いて紙袋を受け取る。

「わあ、すごい。きれいに包まれてる。開けていい?」

「う、うん」

リボンをほどいて包みを開くと、青色のマフラーが入っている。

少し深めの落ち着いたブルー。
触り心地が滑らかで、一目で気に入った。

自分のセンスに自信はないけれど、紫央が首に巻くのを想像して、絶対に似合う、と確信して選んだものだ。

紫央が巻き方がわからないと言うので、わたしが巻いてあげた。

「あったかい」

紫央はマフラーに顔を埋めて、嬉しそうに言った。

「ありがとう、蒼乃」

「うん」


ーー思いきって渡してみてよかった。

その笑顔に、わたしはようやくほっとして笑うことができた。

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