たとえ9回生まれ変わっても


ーーリン。

どこかで、鈴の音が鳴った。

風に乗って流れてくるように。
どこか遠くのほうから、かすかな音が聞こえる。

それは、シオの音だった。

シオがやってきた冬。
お母さんとペットショップに行って、首輪を選んだ。
青い首輪は、シオによく似合っていた。

シオが動くとき、走ったり跳ねたりするとき、いつも鈴の音がした。
いつでも家の中にはシオの音があった。

ーーリン。

また、聞こえた。

まるでわたしを呼んでいるみたいに。

は、と思い出す。
まだ行っていない場所があった。

あの公園だ。



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