たとえ9回生まれ変わっても
「ぼく、今日からここで住み込みで働くことになった、紫央っていいます。よろしくね、蒼乃さん」
「……よろしく、お願いします」
ん?
いま、変なこと言わなかった?
住み込みとかなんとか……。
「ぼく、初めてなんだ、こういうの。お父さんが丁寧に教えてくれたからなんとかできただけ」
「えっ、初めて?」
てきぱきとレジ打ちをこなしていたから、経験があるものと思っていた。
わたしと同じくらいの歳に見えるのにすごいな。
きっと、要領がいいのだろう。
「わからないことも多いけど、一緒に頑張ろうね!」
光が差すような満面の笑みに、私はつい見惚れてしまった。
「…………はい」
はっと気がついて、顔から火が出そうなくらい恥ずかしくなる。