たとえ9回生まれ変わっても


『わたし、好きだよ。森川さんの目の色、宝石みたいできれいだもん』

そう言ってもらえて、嬉しかった。

もしかしたら彼女たちとなら仲良くなれるかもしれない、そう思ってしまった。

だけど彼女たちからすれば、そんな言葉はただの同情の言葉にすぎないのだろう。

わたし自身は、あの2人みたいに魅力的な女の子から興味を持ってもらえる魅力なんて、ひとつもない。

たとえばわたしと同じ色の目をした紫央がこのクラスにいたら、きっとすぐに人気者になるのだろう。

でも、わたしは違う。
人と違う色の瞳を隠したくて、すぐに下を向いてしまう。

どんなにきれいな宝石だって、持ち主によってその輝きは天と地ほどに変わる。
持ち主に魅力がなければ、きれいな宝石だってくすんでしまうのだ。

黒板の横に貼ってある時間割を見て、さらに憂鬱になった。

午後に英語の授業がある。
今日は当たりませんように、と念じても意味がないのは、いままでの経験からよくわかっている。

なんだか、朝から胃が痛い。
そう思うと、気になって余計に痛みを感じるようになる。


ーー逃げたい。


ここから、逃げ出したい。

でも、どこに?

学校をサボって寄り道なんてできないし、家に帰ればお母さんとお父さんが心配する。

お父さんは手術なのだから、心配なんてかけられない。

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