たとえ9回生まれ変わっても
「やー、災難だったねー森川さん」
「まじあいつクズだよね。あんなの気にしないほうがいいよ」
井上さんと吉田さんがわたしのところへ来て、なぐさめてくれた。
英語の授業で当てられて、黒井先生に詰られたときは、決まって2人がフォローしてくれる。
優しいな、と思う。
ほかのクラスメイトは、笑うことはあっても、そんな風に優しい言葉をかけてくれたことはないから。
「ありがとう。大丈夫、気にしてないよ」
本当は恥ずかしさと悔しさでいっぱいなのに、そう返すのが精一杯だった。
「森川さんて、ほんといい子だよねー。わたしなら絶対キレて言い返すけどなー」
井上さんが納得いかなさそうに言う。
井上さんは、美人でしっかり者。
ぱっちりと大きな二重の目で、腰まであるストレートの黒髪がきれいだ。
「うちらが文句言おうか? あれはひどすぎ。ていうか、だんだんひどくなってるよね」
吉田さんも頬を膨らませて怒っている。
吉田さんは、ふっくらした丸顔の、可愛らしい女の子だ。