たとえ9回生まれ変わっても


わたしは外国人じゃない。
母方のおばあちゃんがイギリス人で、おじいちゃんが日本人。
だからわたしは、イギリス人と日本人のクウォーターということになる。

だけど、わたしは両親よりも、おばあちゃんの遺伝を強く受け継いでいた。

お母さんもお父さんも目が黒いのに、わたしは生まれつき目が青かった。
髪の色素も薄く、見た目だけなら、どう見ても日本人には見えない。

『蒼乃はほんとうにおばあちゃんによく似てるわね』

小さいころから、何度も聞かされてきた言葉だ。

おばあちゃんの写真は見たことがあるけれど、会ったのは3歳のときに一度だけで、ほとんど覚えていない。

青い目、薄茶色の髪。特徴は同じ。

だけど、写真でしか見たことのない人に似ていると言われても、いまいちピンとこない。

わたしは日本で生まれて、日本で育った。
英語は喋れないし、外国なんて行ったこともない。

それでも初対面の人はみな、わたしを外国人だと認識する。

人は見た目で人を判断する。

“ただ少し人と見た目が違うだけ“

自分がいちばん、よくわかっている。
少しじゃないから、言われるんだって。

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