イジワルな君に、ラブレターを。
「……何だよ? 若葉。間抜け面して」
私が黙り込んでしまったからか、純太が慌てたように声をあげる。
「いや、純太がそんなこと言うなんて。らしくないなぁって」
「わっ、悪いかよ? 別に俺は……ほっ、本当のことを言っただけだし」
「えっ!」
ふいっとそっぽを向いた純太に目をやると、耳まで真っ赤になっている。
いつもだったら、純太のことだから『そんなこと言ってねぇ!』とか何とか言って、必ず否定するのに。
そんなふうに素直に肯定されたら、調子狂うじゃない。
「さっ。反省文も書き終わったし、提出してとっとと帰るぞ」
「あっ、待ってよ、純太!」
「遅せぇ奴は、置いてくからな?」
そう言いつつも、純太は教室の扉のそばで立ち止まり、じっと私を待ってくれている。
なんだかんだ、優しい純太のことが好きだ。
だから、私……中学を卒業するまでにこの想いを伝えたい。
純太に……告白したい。
中学の卒業式までは、残り1ヶ月。
今初めて芽生えたこの気持ちを胸に留め、私は純太の元に駆け寄った。