ずっと探していた人は
「うわ、かわいいねっ!!」

袋から顔を上げた大橋くんは、目をキラキラと輝かせる。

「これ何? お菓子?」

珍しく大橋くんがはしゃぐ。

その様子に、喜んでもらえたのかなと思い、思わず私も笑みがこぼれる。

「うん、マカロンだよ」

土曜日に由夢と一緒にショッピングモールに行った時に、洋菓子屋さんの前を通りかかった。

その時、野球ボールの模様にアイシングされたマカロンがディスプレイされているのをたまたま見つけてー……

「このマカロンをあげると、大橋くん、喜びそうだな」とふと思い、買ったのだった。

「前に一緒にパフェ食べた時、大橋くん、甘いもの大好きだって言っていたから。相変わらず野球部の練習は大変そうだけど、練習に疲れた時にでも食べて」

弾けるような笑顔で、大橋くんが「ありがとう」と笑う。

「本当はね、教室で渡そうかなって思っていたんだけど……徹にバレると大騒ぎされそうだなって思っていたから、今渡せてよかった」

きっと教室で渡すと、徹が「俺にはないのー?!」「俺も食いたい!!」と騒ぐに違いない。

大橋くんも同じことを考えたのか、「それはそうだね」と苦笑する。
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