LOVEHATE~御曹司社長と黒い子作り婚~

私と綾知さんの結婚式に来てくれたのは、お互いの親族と、友人。


会社の人間は、重役の人達だけで、
綾知さんの嫌いな、川邊専務も呼んでいる。


そして、今回色々とお世話になった、弁護士の滝沢斗希さんも招待している。


式は、川邊専務と滝沢さんは離れた場所に居たけど。


披露宴の席は、二人を隣同士にしている。


披露宴中、高砂席から川邊専務と滝沢さんを気にして見てみたが、
川邊専務はちょっと眉間にシワを寄せているが、滝沢さんは笑っていて。


とりあえず、二人は楽しそうに過ごしていた。


そして、奥村さんもそうだけど、太陽君も来てくれている。


この結婚式の前から、二人とはちょくちょくと綾知さんも入れて、ご飯を食べに行ったりと仲良くしている。


太陽君も私が叔母さんだと知っているが、まだ若い私に気を使って、
おばさん、じゃなく、"千花ちゃん"と呼んでくれている。


そういえば、さっきチャペルを出てフラワーシャワーの時、奥村さんの方をチラッと見たのだけど。


一瞬、背の高い男の人が、奥村さんの花を持つ手に、自分の手を重ねているように見えた。


それは、ほんの一瞬で。



私は霊的なものを信じるタイプじゃないので、幻影かもしれないけど。


そして、私の腹違いの兄達は、
綾知さんの友人だという体で出席してくれている。


その二人には、今回、初めて会った。


まだ、挨拶くらいの会話しか交わしていないけど。


長男の一枝さんは、独身で。


三男の三咲さんは、奥さんと二人の子供を連れて来ていて。


その子供は、どちらも男の子。


私には、太陽君を含め、三人の甥っ子が出来た。


それにしても、お腹が空いたな、と思う。


始まる前に、サンドウィッチを食べたけど、それだけじゃあすぐに空腹になる。


主役の私と綾知さんは、目の前の料理にはなかなか手を付けられなくて。


お腹が、大きな音で、グー、と鳴る。


隣に居た、綾知さんにだけそれが聞こえたみたいで、
クスクスと笑っている。


「家に帰ったら、また綾知さんが作ってくれる、焼きおにぎりが食べたい」


そう小さな声で、耳打ちするように綾知さんに伝えると。


いいよ、と言ってくれた。



(終わり)


< 139 / 148 >

この作品をシェア

pagetop