LOVEHATE~御曹司社長と黒い子作り婚~
甘い彼
平日の今日。


綾知さんは帰って来るのが早くて、
私とお義母さんと一緒に三人で夕飯を食べる。


最近は、平日の夜は私とお義母さん二人で食べて、って事が多い。


いつも二人の所に、一人加わるだけで、賑やかに感じる。


「綾知さん、この粕汁、私が作ったの!」


そう言って、綾知さんを見る。


綾知さんは私の視線に気付き、お碗を持ち、それに口を付ける。


「旨い…」


そう、漏らすように口にした。


「え?本当?!」


私は横に座っている綾知さんを、
マジマジと見る。


「うん。本当に美味しい」


「だよね?
今日、入れるだけで粕汁出来る素があって。
これ、けっこう美味しいよね?」


そう、言うと、綾知さんは、苦笑している。


最近、夕飯は何か一品は私が作るルールになっていて。


今日も仕事終わりに、スーパーに買い物に寄り、これを見付けて来た。



「最近は、こうやって便利なものもあるのね」


と、お義母さんもけっこう丸くなって来た。


「でも、粕汁の中のこの野菜とかはちゃんと自分で切ったから」


箸で、歪な形のゴボウを掴む。



「千花さん、今回はちゃんとゴボウの皮剥いてるけど。
こないだなんか、剥かずに切り出して」


そう、ため息を吐くお義母さん。



前に、ゴボウのきんぴらを作ろうとした時の話だな、と思い出す。



「まあ、千花のそういう所が、一緒に居て気が抜けて、いいんだよ」


そう、綾知さんは笑っている。



「綾知は、本当に千花さんに甘いから!」


お義母さんのその言葉に、私も綾知さんも笑って誤魔化した。

< 140 / 148 >

この作品をシェア

pagetop