LOVEHATE~御曹司社長と黒い子作り婚~
「とりあえず、二人とも座れ」
専務室に通された私と滝沢さんに、その人は不機嫌そうに言った。
このベリトイの専務取締役である、川邊篤(かわべあつし)。
この人が眞山社長と同い年だと誰かが言っていたので、
この人も、若くでこうやって役員に。
それは、父親がベリナングループの会長だからか。
「相変わらず、その感じ」
滝沢さんは苦笑しているけど、
私は川邊専務が怖い。
この人が、昔、けっこう不良だったと、社内の噂で聞いた先入観で。
それにしても、滝沢さんは川邊専務と親しいのだろうか?
そう、感じた。
「まさか、篤に呼び出されるとは。
朝っぱらから電話して来るの辞めてくれない?
うちの子迄起きちゃうから」
「それは、悪かった」
少し罰が悪そうに、川邊専務は眉を下げている。
「辻山さん、とりあえず座ろう」
滝沢さんに促され、二人一緒にソファーに座る。
川邊専務の目の前に。
「滝沢さんと川邊専務は、お友達なのですか?」
そう訊くと、目の前の川邊専務が目を細めて、滝沢さんも顔から一切笑顔が消えた。
私はそれほど訊いてはいけない事を、訊いたのかな?
「篤と俺は幼馴染みなんだよ。
その縁で、以前、俺はこの会社の顧問弁護士の一人だったんだけど。
今は違う、って辺りで、察して貰えれば」
元々仲が良かった二人なのだろうけど、
何かしらの理由で、仲違いしたのだろうか?