LOVEHATE~御曹司社長と黒い子作り婚~

「お前らを呼んだのは、篠宮の事だ」


その川邊専務の言葉に、心臓がドクンとした。


晴君?


「辻山さんも篠宮君から聞いて知ってるでしょ?
篠宮君の居る部の前の部長は、篤だったの。
まあ、もう三年以上前だけど。
今は平井君が部長だけど。
平井君も、俺、同じ高校だったから知らない仲じゃなくて」



"ーー俺、上司が斗希さんと仲良しだったからーー"


それは、そう言う事か。


川邊専務の事か平井部長の事か、どちらかは分からないけど。


そういえば、川邊専務が晴君が居る部署の前の部長だったと、晴君が話していた事がある。

けっこう仲が良いとも。


「昔、篤の部署のメンバーと俺も飲みに行った事があって、篠宮君とはそれで俺も顔見知りで」


そう説明されるけど。


滝沢さんは、そうやって顔見知りの晴君の彼女である私を、
ああやって眞山社長に差し出すような事を…。



この王子のような見た目にいい人だと騙されそうになるけど。


滝沢さんは、最低な人かもしれない。




「昨日の夜、篠宮がうちに来て。
付き合ってる女と別れたって、言っててな。
その女が眞山社長と急に結婚するって」


そう話す川邊専務は、私を睨み付けるようで。


晴君がいくらこの人と親しくても、
私にとってこの人はほぼ初対面で。


怖くて、仕方ない。



「で、それで、俺が何の関係があるの?
辻山さんは、当事者だからともかく」


確かに、晴君の彼女である私が呼ばれたのは、分かる気はする。


「とぼけんな。
篠宮から聞いた。
斗希、お前昨日この女連れて、眞山社長の所に行ったんだろ?
お前もこの件に関わってんだろ?」

その凄むような川邊専務の口調に、私は怖くなるけど。


滝沢さんは、涼しげな顔で微笑んでいる。

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