LOVEHATE~御曹司社長と黒い子作り婚~
子作り
週末の土曜日。


両家の顔合わせとして、老舗の料亭で昼食会が行われる。


眞山社長は一人っ子で、私も一人っ子。


そして、私は母子家庭なので、
この場に集まったのは五人ととても少ない。


私と母親の向かいに、眞山社長本人とその両親が座る。


私の母親と、その不倫関係の男性。


その男性の奥さん…。


その不倫関係の子供同士が契約結婚して…。


なに、このドロドロの人間関係…。


10月も中旬になり、夜は少し寒くなって来たけど、昼間はまだまだポカポカと気持ち良くて。


今日もそんな気持ち良い気候なのに。


この部屋だけ、どんよりとしているように、私には見える。


「綾知にこんな若くて可愛いお嬢さんがお嫁に来てくれるなんて。
しかも、辻山さんの娘さんなのね。
辻山さんに似て、千花さんも美人ね?」


両家の挨拶そこそこ、一番初めに話し出したのは、眞山社長のお母さん。


眞山社長のお母さんは、上品な人で、一見厳しそうに見えたけど、
とても優しそう。


歳は60代後半くらいかな?


それにしても、うちの母親の事を知っているみたいだけど。


流石に、その関係迄は知らないだろう…。



「辻山さんの娘さんがうちの会社に入社した事は、父から聞いて知っていたんですけど。
まあ、それで、どんな子か気にして見てるうちに、受付で働く千花に俺が惚れてしまって。
だから、この前勇気を出して思いきって千花にプロポーズしてみたら、頷いてくれて」


眞山社長とは、そういう事にしようと口裏を合わせている。


あの社長室での昼食会以来、今日迄眞山社長と二人で会ってはいないけど。


あの昼食会の夜から、眞山社長は毎日夜に電話をくれるようになった。


それで、今日のこの昼食会の事を聞いたのもそうだけど。


今、何してるの?とか、本当に普通の恋人のような会話もしてくれる。


そういう所で、眞山社長の考えている事が分からなくなる。


私の事が憎いのは憎いのだろうけど。


実は、それほどでもないのか、と。


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