LOVEHATE~御曹司社長と黒い子作り婚~
「そういえば、お義父さんまだ帰って来てないよね?」
流石に、この時間迄仕事ではないだろうけど。
「うちの父親は、平日はまず帰って来ないよ。
土日は、わりと家に居る事はあるけど」
「え、それって…」
それって、別居?
でも、昨日とか今朝の様子を見る感じ、家庭は円満だし。
「うちの父親、愛人一杯居るから」
「そうなんだ…」
なんだか、少し複雑。
愛人は、うちの母親だけじゃないって事か。
先程お義母さんは、私に夫の帰りを待って、どうたらとか言っていたわりに、自分はさっさと寝るんだ、と思ったけど。
そういう事か。
お義父さんは、帰って来ないと分かっているから。
ふと、思うけど、今日、この人は遅いけど、こうやって帰って来たけど。
もし、愛人と夜を過ごして帰って来なかったら、
私は一晩中、風呂も入れずこのダイニングテーブルに座って居なければいけなかったって事?
「綾知さん。もし、何処かに泊まるとかで帰って来ない夜は、私にLINEして」
「え?妻にそんなLINEするの?」
カレイの煮付けを食べる手を、止めた。
その綾知さんの疑問は、そうなのだけど。
「だって…」
待ってなきゃあいけないから、と言うと、なら、待ってなくていい、と言われそうだし。
綾知さんがそう言っても、あのお義母さんがうるさいし。
「そんなLINEはしないよ」
少し面倒そうにそう言われ。
思わず、それは困ると目で訴えてしまう。
「出張とかじゃない限り、ちゃんと俺は帰るよ」
それに、そういう事か、と納得した。