LOVEHATE~御曹司社長と黒い子作り婚~

「そういえば、お義父さんまだ帰って来てないよね?」


流石に、この時間迄仕事ではないだろうけど。



「うちの父親は、平日はまず帰って来ないよ。
土日は、わりと家に居る事はあるけど」


「え、それって…」


それって、別居?


でも、昨日とか今朝の様子を見る感じ、家庭は円満だし。


「うちの父親、愛人一杯居るから」


「そうなんだ…」


なんだか、少し複雑。


愛人は、うちの母親だけじゃないって事か。


先程お義母さんは、私に夫の帰りを待って、どうたらとか言っていたわりに、自分はさっさと寝るんだ、と思ったけど。


そういう事か。


お義父さんは、帰って来ないと分かっているから。


ふと、思うけど、今日、この人は遅いけど、こうやって帰って来たけど。


もし、愛人と夜を過ごして帰って来なかったら、
私は一晩中、風呂も入れずこのダイニングテーブルに座って居なければいけなかったって事?


「綾知さん。もし、何処かに泊まるとかで帰って来ない夜は、私にLINEして」


「え?妻にそんなLINEするの?」


カレイの煮付けを食べる手を、止めた。


その綾知さんの疑問は、そうなのだけど。



「だって…」


待ってなきゃあいけないから、と言うと、なら、待ってなくていい、と言われそうだし。


綾知さんがそう言っても、あのお義母さんがうるさいし。


「そんなLINEはしないよ」


少し面倒そうにそう言われ。


思わず、それは困ると目で訴えてしまう。



「出張とかじゃない限り、ちゃんと俺は帰るよ」


それに、そういう事か、と納得した。

< 62 / 148 >

この作品をシェア

pagetop