敏腕パイロットのドSな溺愛~離婚するはずが、エリート副操縦士は最愛妻を甘く包んで離さない~
私は重いため息をついた。長距離運転手なんてずるい表現だ。絶妙に嘘ではないところが憎らしい。

「まさかちえりがパイロットの妻になっていたなんて……。やっぱりあのダイニングバーってJP航空のパイロットがよく来るんだ。すごい、うらやましい」

陰鬱な気分の私とは裏腹に、パイロット狙いの杏はかなり興奮していた。「誰か紹介して!」ときゃあきゃあ騒いでいる。

しばらくして杏がメイク直しに向かうと、私は休憩室の窓から外の景色を眺めた。

大地先輩は今、空を飛んでいる。

スマートフォンで調べたら、羽田空港からパリのシャルル・ド・ゴール空港までは約十二時間半だそうだ。午前十時に発ったから、日本時間で夜の十時半頃に着く。パリとの時差は八時間だから、現地時間では午後二時半頃だ。かなり長時間のフライトで、想像しただけで怖くなる。

でも、大地先輩の精悍なパイロット姿を見られたからだろうか。もっとなにも手につかなくなると思っていたのに、不思議なくらい平静を保っている。自分が信じられないくらいだ。

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