オフィスラブは突然に〜鬼部長は溺愛中〜
「えっ。響待たないの?」

「はい。明日も仕事ですし、兄も帰って来ますから」

「じゃあ、送ってく」

「大丈夫です。そんなに遠くないので」

「いや、でも気になるから行こう」

 柚が遠慮しても聞いてくれないだろう。柚は一度響の部屋の鍵をかけた。

「じゃあ誉さん、響さんの鍵を預けますね。戻って来て響さんがまだだったら困りますよね」

「ああ。サンキュー。じゃあ、後で響に返しておくから」

「はい」

 二人並んで響のマンションを出た。その姿も見られていたなんて…

 柚のマンションまで歩きながら、会話している姿はカップルに見える。

 ちょうど柚のマンションの前に来た時に、駅方面から帰ってきた楓と出くわした。珍しく早く帰ってきたようだ。柚が男性と歩いている姿を目にし、呆然と立ち尽くしている。

「あれ?楓今日は早いね」

「あ、ああっ」戸惑いの声。視線は柚の横へ。

「はじめまして。椎名誉です。柚ちゃんの家族かな?」

「えっ?し、椎名〜」




 





 
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