レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加



太央が柔らかい表情で私を見下ろしている。
頭を撫でられて背中を優しく叩かれるから、眠気に襲われてそのまま眠りについていった。

身体は重いままなのに気持ち悪さが遠退いていくのが分かる。枕が変わると眠れないのに、ふわふわと気分が良くなっていく。





*****




「……っ、いや、やっ……離し」
「志保ちゃん、おはよー」


目覚めて視界に入ったのは、木造の格天井とニコリ笑う太央の笑顔だった。



「……あれ?」


ああ、そうか。一緒に旅館に泊まりにきていたんだっけ。
背中には汗がびっしょりかいて、心臓はまだ激しく脈打っている。
夢で良かったと胸を撫で下ろすも、あのリアルな夢に体がゾクリと震えた。それを落ち着かせる為に大きな息を吸って吐く。



「志保ちゃん寝てる間にー。俺、温泉入ってきちゃった。めっちゃ大きくて気持ち良かったー」

「……温泉?私、そんなに寝てたの?」

「うん、ぐっすりー。死んだように寝てたよ?」


窓の外は橙色の夕日に染まり始めていて、もうすでに4時を過ぎていた。
チェックインしたのがお昼少し過ぎだから……。こんなにもまとまった睡眠が取れるのは珍しいな。



「あは、きっと薬が効いたんだねー」

「……え?」




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