レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
手元に視線を落とすと、手首は細いくせに甲に浮かぶ血管が見えた。私のとは全然違う大きな手。
顔だって可愛らしくてまだ幼さが残るのに、この子は男だったのだと。今更、心が穏やかでなくなるなんて釈然としない。
「志保ちゃーん、緊張してるでしょ?」
「……してません」
「えー、嘘だぁ。手に力入ってるよー」
「入ってません」
「俺だって緊張してんのに?」
「……え?」
「志保ちゃんと、手ぇ繋いでこうやって並んで歩くの夢みたいだしー。手なんて取ったら"離しなさい"とかなんとか言っちゃって振り払われると思ってたしー。俺の心臓バックバクでヤバいよ?」
太央がニヒヒと歯を見せて笑う。嬉しそうに目を細めて私に視線を向けるから、なんだか胸がくすぐったい。
「そういう事、言わ…」
「言わせてよー。好きだよ、志保ちゃん」
「……っ」
「志保ちゃんが不器用で素直じゃなくても、ひねくれててもいーよ」
「な、何言って……」
「真面目で頭が固くて、もっと上手く生きられんのにとか、すっげーバカだなーって思うけど、そんな志保ちゃんが子供の頃から大好きだから」
この子の真っ直ぐ向けられる視線を反らせない。
心臓が大きく脈打って、胸の奥から何かが溢れ出してきそうになった。
なにこれ、おかしい。
苦しくて泣きたくなる感情がなんなのか、分かんなくて、頭の中がぐちゃぐちゃになっていく。