レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加



どうして彼が……、成央さんがここにいるのか理解出来ない。と同時に、繋いでいた筈の手の先に誰もいない事に気が付いた。


そうだ、あの子はどこにいるの──?



「……ッ、おいっ、おい!!大丈夫かよ!!?」


自由にならない身体をなんとか半分起こし切迫する声の方へ目を向ける。
そこには、彼が太央の上半身を抱きかかえて大きく揺れ動かす姿がぼやけて見えた。



「起きろ!!起きろよっ!!」


彼の切羽詰まった声が辺りに響き渡るけど、自身の息をするのが精一杯で太央の顔が見えない。



「返事くらいしろっ!おい、太央っ!!」


バシッ、バシッと頬を叩く痛々しい音が耳に入ってくるのに、あの子の声が聞こえてこない。


どうしよう、どうしよう、どうしよう。
頬に針が突き刺すような痛みが走った。全身がガクガクと凍えるように震え出し、急激な不安に襲われる。頭がぐるぐるする。

もし、あの子が死んでしまったら私のせいだ。大人なのに、私がいけないんだ。


教師が生徒を(たぶら)かして、自分だけ未遂で生き残ってしまったら、世間からどれ程の批判を受けるだろうか。




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