協道結婚
「会社の近くはヤバいって!それにまたベンツだし😭」

「大丈夫大丈夫。今日はちゃんとしてるから」

✨禁断の微笑み✨

っと、キラキラしてる場合じゃない。
嫌な予感がした。

「止めて」

「トイレ🚹?」

「ちゃうわ!しかも私🚺だし!」

首をかしげながら脇に寄せて車を停める。

すかさず降りて車を見ながら半周…

「なっ!……」

そのまま半周して乗り込む。

「どうです!なかなかの…」

「な、な…っんなのよ!あれはぁ❗️」

ベンツの運転席側。
鮮やかな彩りの「ハッピー不動産」

「静華、この前不満気だったから、今日は社有車感を出さなければとおもって。でもちょっと派手過ぎたかな?」

(ぶすっ🔥)

「なかなか難しくてね。ほら、私は不器用ですから時間なくて、片方しか貼れなかったんだ」

(ブスブス🔥🔥)

(クンクン)あれ?なんか焦げてる様な…

「焦げるかぁ❗️」🌋

世界遺産が灰となる日は近い。

「おっかしいでしょ!不自然でしょ!あり得ないでしょう!」

「だ、だよね…やっぱり片方じゃ…」

残念ながらそこではない。

「くっ!黒塗りベンツにハッピーもクソもあるかぁ〜❗️」

静華がこんなキャラになるとは、作者も予想外であった。

話を進めよう。


ようやく鎮火した頃、ハッピーベンツは目的地に着いた。

まばらに家が点在する静かな郊外。

そこに。

アレはあった。

不自然に生え立った竹林。
そばには寂れた神社⛩。
その家を囲む塀には不気味な落書き。

怖いものしらずの御曹司でも、ヤバいモノは分かる。

「ここ…ですか」

無言でうなづく静華。
静華自身、一月ぶりに見るその変わり果てた光景には、心の底まで恐怖を感じていた。

事故物件。
ハッピーが買い受けてからも、4回買い手が見つかった。
いずれも不幸な事故や病気に見舞われて、去っていったのである。

「築50年ってところですね」

誠の鑑定力が正確なことは、これまでに分かっていた。

「いえ。ひと月前に建て直したばかりよ」

「そんな、まさか…」

誠が言葉をなくすほどの酷さであった。

「さて!誠、頼んでた物は?」

「はいはい、この通り」

ハッピーベンツのトランクを開ける。

トランク一杯の食べ物に、恐怖すら消し飛ぶ。

「いったい全体、何をどう考えたらこうなるのよ!?」

「初めてコンビニって建物に入ったら、驚くほど食べ物がたくさんあってね。どれもおいしそうだったし、静華の好みも知らないから、とりあえず全部買ってきました✨✨」

「きました✨じゃない!って、何日分よこれ」

「私の推理では、7〜11日分ではないかと」

「セブンイレブンですか〜っ❗️はぁ〜全く。推理してどうするのよ。これから無人島にでも行くつもり?」

「まさか、それならテント⛺️とか発電機とか…あとは…」

「考えなくていいっ!」

住む世界のギャップに凹む静華。

「とりあえず中へ運んで、次の用事を済ませてきましょ。」

中へ入ると、外観ほどは酷くなく、電気も水道も、その他生活用品は完璧であった。

きっと心配するから、部長達には言えなかったのである。



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