協道結婚
「アレ」からハッピーベンツ(もういいか💦)で30分。

整備中の敷地に到着。
誠が手掛けているマンション予定地である。

「本当にいいんですか?」

誠が不安そうに問う。

「大丈夫…と思う。建設予定は?」

「来月から本格的に始めて、年内には完成させるつもりなんですけどね…」

いつになく暗い表情の誠。

「しっかし、広いわね。さすが岩崎建設!公園も近いし、モールも目ね前。最寄りの駅まで徒歩15分。」

かなり頑張っての15分とは違う。

「私はここに、この町のシンボルになる様な、アミューズメントマンションを作りたいんです」

少し前に、その構造図やデザインを見せてもらった。…企業機密㊙️だと思うが。

「いいなぁ、誠は作りたい物がちゃんとあって、それを実現できるんだもんなぁ〜」

そんなマンションに住んでみたいとさえ思った。…もちろん誠と👫💓

地盤造りは始まっており、今日も何人かの作業員が重機を使ったり、測量をしている。


そこへ、怪し気な車の列が近づいてきた。
構造確認に夢中な誠はまだきづかず。
妄想💦に夢中な静華が気付くはずはない。

「う、うわぁーっ!」

敷地内へ入った一台に、測量士が危うく跳ねられそうになる。

その音と声に気付いた二人。
…あ、いや、一人。(もちろん誠)

「またか…。静華、ここにいて下さい」

厳しい顔で、誠が向かう。

「ここに…ふぁ〜い💕いますよ〜ムフっ」

一度入ったら持続力抜群の妄想領域。
さすが静華である。


「ま、誠様!」
誠にすがる作業員。

「何やってんだぁ〜お前ら!」

柄の悪い輩(やから)が10人。

「性懲りも無く、貴方達は!」
輩相手でも貴方と呼ぶ誠は良い子。

「金城建設のさしがねだろう!」

業界二位の大手建設企業、金城建設。
裏世界の悪い噂は数知れず。
この土地を巡り、最後まで岩崎建設と争った。

「金城ぉ〜⤴️(出番の多い矢印君)?しらねぇなぁ。おらぁっ❗️」

輩①の右足が誠を襲う。

表情一つ変えず、誠が身をかわ…

「ドガッ❗️」

…せず、クリーンヒット〜🎉
見事なまでに弱い御曹司。

地面に倒れ込む誠。

「ま、誠様!」

ひざまづき、気遣う作業員。

「も一つオマケに、ウラァ〜❗️」

「タタタッ! ヒュン!」

二人の頭上に一陣の風。

「ふりゃぁ〜❗️」

「ガッ!」

静華の膝が、顔面を捉える。

「グァ!」

カウンターの一撃で吹っ飛ぶ輩①。

「私の誠に何してくれてケツかんのぉー❗️」
…とうとうこういうキャラに育ってしまった。

「し、静華っ!」

「誠、大丈夫?こいつらが例の悪党ね」

数日前に、ここのことも、悪党のことも聞いていた。

「なんだぁ、お前!可愛い顔してんじゃん。」
輩②が舐める様に静華を見る。

誠に気を取られてた一瞬の隙。

輩②の左足が襲う。

同じ方向へ回転しながら、のけ反る右頬ギリギリを、尖った靴の爪先がかすめる。
その勢いのまま、静華の裏拳が顔面を狙う。
が、左腕でそれを受ける輩②。

(こいつ…できる。ならば…)

無防備に一歩踏み出す。
「うりゃ!」
輩②が全体重を乗せた右ストレートを放つ。
僅かに左に動きながら回転してそれをかわす。
かわし際、伸びる右腕を左手で掴む。
そのまま伸びる方向へ引く。
かわされ、引かれた体が前のめりになる。
体を沈めながら掴んだ右腕を振り子の様に下へ回し、同時に静華の右足が、踏み出した輩②の左足を刈る。

ほんの一瞬の攻防であった。

振られた腕、刈られて地を離れる靴。
その勢いのまま、輩②の体が前回転し、背中から地面に叩きつけられた。

「グハッ❗️」

呼吸ができず、痛みと苦しみにのたうち回る。

か弱そうな?静華に、二人の輩が倒された。
驚く輩③④⑤⑥…あぁ面倒くさっ!

が、まだ残り8人。
油断せずまとめてこられたら終わりである。

と、その時、静華の愛phonが鳴る。
応答ボタンを押す。

「おっ待たせ〜♪」

5台のベンツが土埃を舞い上げて停まる。
一斉にドアがひらき、黒スーツの15人の強面(こわもて)が、8人を睨む。

「な、なんだぁ、お、おまえら❕」

輩③か④が凄んだ…つもりだか、既にビックリマークは掠れていた。

最後に倉崎満の足が降り立つ。
関東を締める飛鳥組の傘下、蔵崎組 組長。

「困るなぁ、昼間っからのお仕事はよぉ❗️」
凄みの効いた重い響き。

「く、蔵崎組!」
輩⑦か⑧か⑨か…ん〜ん、もうどうでもいい。
が、つぶやく。

「どこの組かシラねぇが、やるかぁ⤴️」

睨みを伴った満の声に、たじろぐ輩達。
勝敗は決した。

「いいか、二度目はねぇぜ。転がってる奴担いで、さっさと消えなっ❗️」

「ひっ、ひぇ〜💦💦」
慌てて退散する輩達。

「蔵ちゃん、カッコいい〜!」

満の腕に絡み付いた美夜がいた。
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