Mazzo d'amore
そして夏休みに我が家でも変化が起きていた。

父は独身時代からずっとロン毛だったが突然5厘の坊主にした。

そして母は金髪のウィッグを被り化粧がド派手になっていた。

「タオル投げて、後ろに引っ張ってみ」

父が私にタオルを渡して言ってきた。

仕方なくタオルを父の頭に目掛けて投げそのまま後ろに引っ張ったら父の頭にタオルが引っかかり父の首も一緒にグイッと引っ張られた。

「あはははははは」

家族全員大爆笑した。

「ちょっと首やったかも…」

父の底抜けの明るさには家族全員救われる。

そんな私達家族とは違い目と鼻の先の菜音くんの家では離婚の話しが進んでいた。

菜音くんのお母さんは私達に見られた以上バレるのは時間の問題と思い報告した模様だった。

話しを聞くと菜音くんのお母さんと美容師さんの関係は一夜限りではなく、何回も及んでいたらしい。

怒鳴り叫ぶお父さんの声と、謝り泣き叫ぶお母さんの声、止めに入りながら泣き叫ぶ菜音くんの声が近所一帯に響き渡った。

「お父さん!!早く!!」

お母さんに言われ、私の父も血相を変えて止めに入った。

父が必死に止めに入るも菜音くんのお父さんは体格が大きく、また格闘技経験者で小柄なぽっちゃり体型の父は子泣き爺のようにしがみつくも全く止めれてなかった。

そして笑ってはいけない状況なのに、5厘になりたての父が振り回されながにも必死に………子泣き爺のように必死にしがみつく姿がおかしくておかしくて…

(笑ったらダメだ笑ったらダメだ)

そう思っても止めに入る父の姿を見たらツボに入る入る。

「ああああああ!!!やめて!!!やめて!!!」

父が叫びながらすんごい形相で止めに入るも、たまに菜音くんのお父さんの首にかけてるタオルが頭にひっかかったりしてるのが凄い面白くて私は耐えきれなくなって家を飛び出し大爆笑した。
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