恋も推しごと〜私の推しがふってきました〜


 私はこの絶好の機会を逃すまいと、寝息を立てる怜也くんをじーっと観察した。


 長いまつ毛と、やわらかそうな唇……。少し目にかかっている髪はふわふわしている。


 ――どうしよう、触りたい。


 その欲求に負けて手を伸ばそうとした時、私の身体がふわりと浮いた。



「は? えっ……!?」



 次の瞬間には私は怜也くんに引き寄せられて、抱きしめられていた。



「れ、怜也くん……!? これはなんのプレイ!? 私、私は――」


「スゥースゥー……」



 ドキドキと速くなる心臓を必死で抑えながら、怜也くんの匂いを嗅ぐ。


 ――あぁ、いい匂い……。



「って、そうじゃない!」



 自分でツッコミを入れながら冷静に考えられるように頭を整理する。


 怜也くんは気持ちよさそうな寝息を立てている……、そして私を抱きしめている。――つまり怜也くんは、私を抱き枕にご所望なのかっ!


 そう理解した私は、上半身だけではなく、自らソファーの上に上がり怜也くんの腕の間にすっぽりと収まった。

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