【短】邪魔な境界線

何気ない会話も普段と変わりないその笑顔に私が密かに胸を高鳴らせているって知らないでしょ?


――……なんて思いながら目の前で堂々と失恋話をする彼を見据えて冷たいミルクティーを吸いながら聞いている。


これで3度目だよ。失恋話聞くの。もういっその事恋愛しない方がいいんじゃないの? なんなら私に見向きしてくれたっていいじゃん。


放課後、「ちょっと付き合って」と言われファミレスへ来たはいいけれど変に期待しちゃった自分が馬鹿みたい……ってこれも3度目か。



「はぁ……俺のどこがいけなかったんだろう。浮気なんてしてないし、可愛いから『可愛い』って言うし、好きだから『好き』って言ってたくらいなのに急に呼び出されて『別れよう』なんてさ、酷くない?」


ポテトフライを貪る彼は本当に元カノの事が好きだったんだなと羨ましく思った。それと同時に安堵している私もいる。


胸の内側なんて見せることなく「そーね」と相槌をうった。そんな私を見兼ねた彼は「こんな話できるのお前しかいないんだから、テキトーに返事すんなよ」と拗ねられてしまった。


その顔にキュンとしてしまうのはやっぱり彼に恋をしているから。


うだうだ話される元カノの話。本当は聞きたくないけど、彼は私の友達であり一番の“親友”でもあるわけで……。


あー元カノが羨ましい。別れた今でもこんなに思われているなんて羨ましすぎるでしょ。好きな人が自分を思ってくれているだけで人生薔薇色じゃん。


私なんて見向きもしてくれないんだから。こんなに傍にいるのに。なんでかな……。


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