【短】邪魔な境界線

「これなに」

「レモンソーダ」

「飲ませて」


いいよと言う間もなくストローに口をつけた彼にドギマギする。こんなのもう日常茶判事くらい慣れているはずなのにどうも心臓は正直みたいで困ってしまう。


美味しかったと手渡しされるとそのストローに目が勝手にいっちゃってさらにバクバクする。でもそれは私だけなのだと思ってしまえば間接キスなんて容易かった。悲しい酸味が口に広がる。



「てかさ、カナは彼氏とか作らないの?」


突然の質問にむせた。てかなに急に……。



「中学ん時はいたよな? 1週間で終わったんだっけ?」

「フ、そんな事もあったね……彼氏ねぇ……」


中学ん時に出来た彼氏なんて元はと言えばアンタに振り向いて欲しくて妬いて欲しくて告白をOKして出来た初カレなんだけどね。

でも無意味だと分かったから速攻別れを告げたのだ。だって彼以外興味ないもん。

アンタが彼氏になってくれたら私は万々歳なんだけどね!泣いて喜んじゃうよ絶対!!


ポテトフライを一つ口に運びながらそう思う。叶わない私の恋なんだろうな、きっと。だって5年も片思いに気付いてくれてないんだもん。少し匂わせたりしてもちっとも気が付かない。カノジョの事は小さな変化でも気付くのにさ……。


“友達”、ね。

そりゃそうだよね。だからこうやって私に平気な顔して元カノの話とかしちゃうわけなんだもん。


――ねえ、私が思い切って告白したらどんな顔するの? やっぱり“友達”だから無理って言うの? 少しは“女”として見てくれないの? いつになったら、どうしたら、気付いてくれる?

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