俺様外科医の溺愛包囲網~嫌われていたはずが甘く迫られています~
「もういいから行くぞ」
「え? あ、ちょっと」
連れ出されそうになりながら、お義母さんたちに「失礼します」と挨拶をすると、お義母さんが、先生を呼び止めた。
「颯士、来月聡子の命日でしょ? お墓参り、一緒に行かない?」
聡子って? もしかして、先生のお母さん?
「わかった。俺も、こいつを嫁にするって報告したかったから、ちょうどよかった」
へ……? よめ?
「へぇ、そうなんだ。いいなぁ、颯士。羨ましいよ」
要先生が冷やかすように声を上げる。お義母さんも楽しみが増えたわー、なんて言っているし。
いったい何の話? いきなり嫁だなんていわれても、全然頭が追い付かないよ!
◇◇◇
停めていた車に乗り込むと、張り詰めていた神経が一気に緩み、思わず安どのため息が零れた。ほんの数時間なのに、もう何日も拘束されていたような気分。
しかも先生のあの発言が頭の中でリピートされ離れない。よめって言ったよね? よめってつまり女に家と書いたあの嫁のことだよね?
まさか先生がそんなことまで考えていたんなんて、思いもしなかった。嬉しいけど、驚きの方が勝っている。
「巻き込んで悪かったな」