一途なイケメンくんととろけるくらいに甘いキスを
花火まではもう少し時間がある。
その辺に腰掛けて星空を眺めた。
もう手は繋がれていない。
そのことにちょっぴり寂しさを感じた。
「ここさ、施設が嫌になって逃げ出してた時によく来てたとこなんだよね」
ぽつりと琥珀くんが話始める。
「そうなんだ……素敵なところだね」
児童養護施設にいた頃、荒れた時期があったのは職員さんから聞いた。
でも、琥珀くん本人から聞くのは初めてだ。
「みんな優しすぎて嫌になったんだよ。その頃は全てがウザくて仕方なかった。そんな時に気持ちを落ち着かせるために来てた」
確かに職員さんはみんな優しかった。
両親が普通に居ても反抗期が来たりするんだから、琥珀くんにとってもそれが反抗期で、相手が親じゃないだけで、普通のことだったのかもしれない。
それが悪かったなんて、私は思わない。
どんなことがあっても、琥珀くんは琥珀くん。
そんな琥珀くんのことが───