一途なイケメンくんととろけるくらいに甘いキスを




それからというもの───



「おはよ」


「お、おはよっ……!?」



挨拶をされたから反射的に返すと、その声の主は天地くんで声が裏返った。


放課後になれば、



「またな」


「う、うん……また明日ね」



誰よりも早く教室を出ていく前に一言だけれど声をかけられるようになった。


こんな日々が定期テストの後からずっと続いている。


私に対してだけ声をかける天地くんに、クラスメイトたちは驚きを隠せずにいて、私たちは注目の的だった。


そうは言っても会話と言うよりは、本当に挨拶程度のやりとりだけ。


それでも物珍しそうな目で見られた。


元々私のことを知っている人は言わないけれど、ちらっと私も天地くんの噂にあるような不良に片足を突っ込んでいるんじゃないかという根も葉もない噂を耳にすることもあった。


事実でもないし、それ以上話が大きくなることもなかったから特にしにしてはいなかったけれど。


そのことに張本人である私よりも友香ちゃんが心配していた。



< 65 / 207 >

この作品をシェア

pagetop