一途なイケメンくんととろけるくらいに甘いキスを



そんな噂よりも私には戸惑うことがある。



“なぁ、天地じゃなくて琥珀って呼べよ”


“これから瑠莉って呼ぶから”



勉強を教えてくれた日、帰り際に天地くんから言われた言葉。


そう言われたけれど、あれから一度も天地くんのことを“琥珀くん”とは呼べていない。


ううん、なんか恥ずかしくて呼べないというのが正しいのかもしれない。


それ以前に私から男の子に声をかけるということ自体、難易度が高すぎる。


しかし、絶好の機会はある日突然やって来た。



「今日は小テストやるぞー」



突然の英単語の小テスト。


授業が始まるなり一発目から放たれたパワーワード。


もちろんクラスメイトからはブーイングの嵐。



「前回の英語のテストは全体的に出来が悪かったからな、これからは毎回単語テストやるぞ」



追い打ちをかけてそんなことを言い出すから、みんな方を落としていた。


毎回授業の該当ページの英文に出てくる単語を出題する予定らしいから予習をちゃんとして来たら何も難しいことはないんだろうけど……


やっぱりテストという響きだけで気持ちが沈んでしまった。



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