一途なイケメンくんととろけるくらいに甘いキスを
「琥珀くんって……瑠莉、一体何を吹き込まれたの?」
「あっ……」
そういえば、友香ちゃんの前で“天地くん”のことを“琥珀くん”と呼んだのは初めてだ。
「えっと、それはその……」
勉強を教えてもらった日に名前で呼べと言われたことを友香ちゃんに伝えた。
「───ってことがあって」
話し終えて友香ちゃんのことを見ると、また信じられないといった表情をしていた。
今まで天地くんのことを琥珀くんと下の名前で呼んでる人は私も見たことがない。
それなのに私に下の名前で呼べと言ってきた。
「やっぱり脅されてるんじゃないの?瑠莉のことは私が絶対守るからちゃんと本当のこと言いなさい!」
まるで本当のお母さんのように母性本能が働いている友香ちゃんは、私の両肩をがっしりと持って真剣な眼差しでこちらを見ている。
「本当に大丈夫だよ。私もびっくりしたけど名字で呼んだら反応してくれないくらいで他には何もされてないし……むしろちゃんと会話をしてくれるというか」
「瑠莉がそう言うならいいんだけど」
友香ちゃんは折れてくれたみたいだけれど、やっぱりどこか不安が残るようだった。
私は本当に大丈夫なのに。
むしろ前ほど琥珀くんが怖くなくなった。
きっと優しいところも知っているから。
ちょっと目つきが悪くてぶっきらぼうなのは、琥珀くんの個性の1つだと思えるようになったから。