一途なイケメンくんととろけるくらいに甘いキスを
何とか生徒玄関までたどり着いて、一度両手いっぱいに抱えるようにして持っていたごみ袋を床に置いた。
「ふぅ……」
重いわけではないけれど、なかなかの重労働。
腕というより、無理矢理小さな手で持っていたから手が痛い。
「瑠莉ちゃーん」
「……?」
一息ついて靴を履き替えていると、私の名前を呼びながら小走りでこちらへ向かってくる人影が見えた。
確かあのシルエットとこの声は、クラスメイトの中野くん。
「どうしたの?」
何か忘れ物をしてしまっただろうか。
男の子と話すことが苦手な私は、用事があるなら手短に話を聞いてすぐ立ち去りたいところ。
私が男性恐怖症だってことは、この学校で友香ちゃんしか知らないから、みんなにはバレないように必死。
もしそれがバレたら、守ってくれる人もいるかもしれないけれど、嫌がらせをされるんじゃないかって不安だから。
中野くんにもバレないように、小さく震える手を背中に隠した。