一途なイケメンくんととろけるくらいに甘いキスを
体が震える。
私が大きな声を出してしまったからか、生徒玄関にいたたくさんの下校前の生徒がこちらを見た。
こんなに人がいるところで……
早く中野くんの手を振り払って立ち去らなきゃと思うのに、体が動かなくて言うことを聞かない。
「瑠莉ちゃん?」
中野くんは何も知らない。
だから、中野くんは悪くない。
ただただ様子のおかしい私を心配してくれて、名前を呼びかけてくれる。
「ご、ごめ……っ、はっ……」
でも、私はそれに答えられない。
体の震えだけじゃなくて、呼吸も浅くなってきた。
息が上手に吸えない。
苦しい。
最近はだいぶ克服してきたと思っていたのに。
ちょっと男の子と話すくらいなら大丈夫だったのに。
ちょっと良くなったかもって思ってたのに。
ちっとも良くなんてなっていなかった。
苦しいよ……誰か、助けてっ。