一途なイケメンくんととろけるくらいに甘いキスを
「瑠莉ちゃん、大丈──」
「おいっ、大丈夫か?」
この声は……聞き覚えのあるぶっきらぼうな声。
“ねぇ、お兄さん何してんの?”
記憶の中にあるあの日助けてくれたパーカーの男の人と重なって見えた。
私を助けてくれたヒーローのような存在。
「こ、はく……く、ん」
震える手を押さえながらギュッとつぶっていた瞼を開けると、琥珀くんがいた。
一体どこから駆けつけてくれたんだろう。
掃除をしていた時にはもう教室に居なかったのに。
「お前、瑠莉に何した?」
体が震え、上手く喋れない私の姿を見て、琥珀くんは中野くんが私に何かしたんだと勘違いしてしまったらしい。
胸ぐらを掴む勢いで中野くんに攻め寄る琥珀くん。
違うの。
違うんだよ、琥珀くん。
何故か私のために怒ってくれている琥珀くんは、中野くんに殴りかろうとしているのが見えて……
「だ、だめっ、違う、の……」
この声が琥珀くんにちゃんと届いたのかはわからない。
パッと目の前が真っ暗になって、意識が遠のいて行った。