一途なイケメンくんととろけるくらいに甘いキスを



さすがに朝から図書室の方へ向かう人はいない。


図書室へ向かう廊下は静まり返っていた。


そっとドアに手をかけて、ゆっくりと開けた。


幸いにも鍵はかかっていない。


……っていうことは、本当に琥珀くんがいるかもしれない。


図書室には誰も居ないことを確認してから、カウンターの奥にある準備室のドアを開ける。



「琥珀くん……」



古くて立て付けが悪くなっているのか、キーッという嫌な音を立てながら開いたドアの向こう。


本棚には並ばなくなった本たちがダンボールに入って積み重なっている。


そのせいか視界が悪いため、小さな声で琥珀くんの名前を呼んで見たのだけれど。



「……居ないか」



返事は何も無く、物音もせず、人が居る気配は全く無かった。


そもそもここに琥珀くんが居るなんて保証はどこにもなかったし。


勝手に私が居るかもと思って来てみただけだから。


同じクラスだし、お礼を言うタイミングなんて今じゃなくてもたくさんあるはず。


そう諦めて教室へ戻ろうとした時だった。



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